落ち葉 第七章

 昨日の留学生の話を聞いて、僕が公園へと向かう足取りは重かった。彼の話が真実であってもそうでなくても、それをおとなしく聞いた時点で、公園のホームレスの方たちに悪いことをした気になったのだ。きっと彼らがあの話を聞き咎めることはないだろう。でもだからこそ、聞きたくもない他人の陰口に付き合わされたような気分だ。しかもその陰口を言われた張本人たちと面会するのである。もちろんあの留学生の言葉は陰口というより指摘あるいは雑談といった類のものだろう。彼は根拠のある事実を述べただけなのだ。けれども僕はまだ、それを区別できるほど人格が成長してはいないらしい。

 何か反論すれば良かっただろうか、とも後悔する。一つ、何か噛みついてやれば僕の罪悪感も和らいだだろうか。しかしその反論するための言葉を探してみても、これだと思うものは見つからなかった。

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