「名札」「帰り道」「通り雨」

ラブレターの返事を受け取った私は、家路につく。
どしゃぶりだった。放課後の教室で泣いた目は赤かったけれど、それでもこの雨なら誰にも気づかれないで済む。
傘がないから、帰り道でずぶ濡れになるだろうが、それでもどうせかまいやしない。
今日は金曜日で、明日は制服に袖を通さない。

どうやら通り雨だったらしく、やがて惨めな姿の私は、白昼に晒されることになった。
歩いていた人たちは傘を閉じ、すれ違う私に好奇の視線を向ける。
まるで悲劇のヒロインだ。
ただ彼女たちは美しくもあるけど、私は無様なだけ。

胸に黄色い名札を付けた小学生たちが、脇をかけていった。
うつむいている私はアスファルトの水たまりに気づき、足を止め、空を見上げる。
(ああ……。)
虹が映っていたのだ。

明日は私服で、街へ出かけよう。

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