ある地点にから、手頃な範囲でゴミを集めてひとかたまり。そしてもうひとかたまり、もうひとかたまり、と掃除を進めてゆく。広い公園なので、全体のゴミを一箇所に集めようとするととても時間がかかるのだ。
実は、この方法は自分で編み出したわけでも、人から教えてもらったわけでもない。ただ、右も左も分からなかった頃にある人の真似をしただけなのだ。
その人は、やはり今日もいた。この場所の掃除でいえば、その人の方がずっと先輩なのだろう。たぶん。直接聞いたことはないけれど、動きには無駄というものがなく、長い経験を感じさせた。その人はかなり年配の、ホームレスの男性だった。